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金星で待っている

先日の車上荒らし被害で、車を修理に出した時。
例によって、電車通勤のお供として買った小説です。

「金星で待っている」 (高村 透)

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主人公「エンポ」は現在30歳、しかし物語りは彼が6年前を回想する形で進行します。
先輩「シーナ」と共に立ち上げた劇団は、一時成功を収めるものの徐々に勢いを失っていました。
「シーナ」のスランプをカバーする為に「エンポ」が初演出をした作品は、さらにぐだぐだ。
そんな時、一人の入団希望者が現れました。
作中で「君」と呼ばれる彼女は「金星人」と自称します。

「僕」と「君」
そして劇団メンバーや、彼等を取り巻く人々。
それらを主人公視点で振り返る青春群像劇ですね。


なかなか面白い作品でした。
もっとほのぼのとした作風なのかと思って買ったのですが、かなりハードな展開もあります。
話の骨子はわりとありがちな「定番」の部類だとは思うのですが、意外なほど恋愛模様などは描写されず、ガチで劇団そのものの物語な面が強いです。

「劇団」と「バンド」ってよく似ていますよね。
夢を見る人
夢破れた人
惰性で続ける人
理想を追い求める人
自分の限界を感じた人
自分の限界を自分で決めちゃった人
「このままでいいのか?」
「潮時じゃないのか?」
そんな葛藤をする彼らに、あっさり感情移入してしまいました。

お気に入りは、カヤちゃん。
カヤちゃんは、語られていないエピソードがいっぱいありそうです。
このお話は30歳の「エンポ」が「金星人」に語りかけている形をとっているので、当然この部分はわりとさらっと流されてますよね。
この辺り、外伝とか発表されないかなぁ。

  by tak_a86 | 2012-06-28 21:57 | コミック、ノベル、アニメ | Comments(0)

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